開戦 - struggler -



「アベルが脱獄しただと……、エルンストはどうした!」
「エルンスト・シュレーガーは脱獄していないとのことです」
「……地下牢に行く。アベルの追撃は既に出したんだな?」
「はい、王都の外に出たと……召喚獣を使用していたとの報告が上がっています」


 何かあればすぐに報告するようにとだけ伝えると、ゲアハルトは足早に軍令部の地下牢へと向かった。その途中、アベルが逃げる際に破ったと思われる窓ガラスの破片は床に散らばったままであり、そこからは冷たい夜風が吹き込んでいた。まさか出撃を控えた日の真夜中に脱獄するとは予想していなかった。
 脱獄の可能性を考えていなかったわけではない。だが、アベルの様子を見ていると、彼にその気はないと感じていたのだ。自分の考えが甘かった、とゲアハルトは舌打ちする。地下牢への階段を駆け降りると、そこには数人の兵士が留まっていた。エルンストから事情を聞いているようだが、彼が素直に口を開くとは思えない。恐らく、のらりくらりと躱しつつ、自分がこの場に来るのを待っていたのだろうと鉄格子に程近い場所に座り込むエルンストを見つけ、実感した。


「……随分と呆気なく壊れるものなんだな」
「すごい音してたけどね」


 爪で破壊されたらしい鉄格子に触れながら呟くと、エルンストは肩を竦めながら口にした。ゲアハルトはそんな彼を一瞥すると、他の兵士らに追撃に向かうように指示を出す。彼らは敬礼するとすぐに地上へと戻るために階段を駆け上がった。彼らとしても、早く事を終わらせて身体を休ませたいのだろう。
 本当に要らぬ頃合にやってくれたものだ、とゲアハルトが眉を寄せていると「そんなに怖い顔しないでよ」という軽口が聞こえて来る。つい先日まではとても口が利けるような状態ではなかったことを思うと、少なからずこうしてアベルと隣り合わせて幽閉していた効果はあったらしい。勿論、それだけでなく足繁く通っていたというアイリスの存在も大きいのだろう。
 ゲアハルトはエルンストの牢へと歩み寄ると、「何があった」と短く尋ねる。そこには文字通り、この場で何があったのかということとそれ以外に、どうしてお前は残っていたのかという意味が込められていた。共に逃げてもおかしくはないのだ。現に、幽閉されてからというもの、実験への協力など、苦しいことの方が多かったはずだ。


「アベルはレオのところに行ったよ。ああ、勿論、暗殺とかそういうんじゃないから安心して」
「レオのところに?どうして……」
「自分のけじめを付ける為に。アベル、あれで結構気にしてたんだよ。帝国兵の収容施設の工作は自分がしたからって」
「……」
「まあ、だからこそ裏切るんじゃないかって心配を司令官はしてるんだろうけどさ」


 肩を竦めて見せるエルンストにゲアハルトは何も言わなかった。考えていたことをそのまま言い当てられたからだ。


「……そこまで俺の考えていることが分かっていても、安心しろと言うのか」
「うん、そうだよ。アベルは裏切らない」
「確証は」
「残念ながら司令官を納得させられるようなものはないな。……強いて言うなら、勘」
「俺にお前の勘を信じろと?」
「そうだよ。俺の勘が信じられないなら、アベルを信じてよ」


 アベル自身を、というよりもアイリスちゃんのことを大事にするアベルの気持ちを信じてよ。
 エルンストは静かな声音でそれを口にすると、深い青の目を向けて来た。真っ直ぐに向けられるその目はアベルを信じている目だった。エルンストが言わんとしていることはゲアハルトも分かっていた。アベルはアイリスを連れて戻って来た。帝国軍を、実の兄を裏切って、追撃を振り切って戻って来た。ベルンシュタインに戻って来たら、アイリスの無事を確保することは出来ても自身の安全は保障されない。裏切り者として処罰されても、殺されてもおかしくはなかったのだ。
 それでも、アベルは戻って来た。自分の命よりも彼女を優先した。そんな彼が、もう一度裏切るような――アイリスを酷く傷つけるような、悲しませるようなことをすると思うのか――それがエルンストの言わんとすることだ。その答えはゲアハルトにとっても考えるまでもなく明らかなものだった。アベルはそのようなことはしない、出来るはずがない。だが、個人的には納得出来たとしても、信じることが出来たとしても、司令官としては確証のないものを宛にするわけにも信じるわけにもいかない。


「……お前の言わんとすることは分かってる。個人的には信じたいとも思う。……だが、」
「いいよ、司令官としては信じるわけにはいかないんでしょ」
「……ああ」
「大変だよね、司令官の役目ってさ。嫌な役回りだよね」
「それが仕事だ」
「俺なら投げ出しちゃうよ。それにもっと捻くれる」


 可笑しそうに笑いながらエルンストは寄りかかっていた壁から背を離す。そして、ゆっくりと立ち上がると寝台の方へと歩き出した。「俺はそろそろ休ませてもらうよ。朝には出ることになるからね」と口にする。その背に向けて、ゲアハルトは抱いていた疑問を吐き出した。


「どうしてお前は一緒に行かなかったんだ」


 アベルはきっと、エルンストも一緒にと言っていたはずだ。彼がエルンストだけを置いて行くとは考え難い。それを問い掛けると、エルンストは軽い笑みを浮かべながら肩越しに振り返る。


「俺は司令官と行くって決めてるからね。そっちの方が俺に出来ることは多いから」
「……」
「レオと残ることがアベルにとってのけじめなら、司令官と一緒に行くことが俺のけじめだよ。ただそれだけ」


 おやすみ、とそれだけ言うとエルンストは背を向けたまま横になってしまった。告げられたその言葉にゲアハルトは返す言葉がなかった。自分と共に来ることがけじめなのだと彼は言った。ならば、エルンストはきっと、それを果たす為なら死すら厭わないのだろう。それが目に見えているからこそ、すぐには言葉が浮かばなかった。
 エルンストはずっと決別した日のことを考えているのかもしれない。無論、ゲアハルト自身も考えなかった日はない。それほどまでに、袂を分かったあの日の出来事は心に深く焼き付いている。恐らく、死ぬまで忘れることはないのだろう。痛みも苦しみも何もかも。そして、それにけじめを付けなければきっと自分自身も歩き出せないのだろうとも思う。
 エルンストにとってのけじめが自分と共に来ることであり、そして、自分の全てを投げ打ってでもこの戦争を終わらせることだとすれば、自分にとってのけじめは何なのかと考える。だが、すぐにはやはり思い浮かばず、また、時間もない。階段を駆け下りて来る足音が聞こえ、振り向くと息を切らせた近衛兵団の深紅の軍服を纏った近衛兵が「ゲアハルト司令官!陛下がお呼びです」と早口に言う。どうやら、アベルは既にレオの元に辿り着いていたらしい。


「分かった。すぐに向かう。……エルンスト」
「……んー」


 まだ眠ってはいないだろうに彼に声を掛け、ゲアハルトは数瞬迷った末に「死に急ぐことだけはするなよ」と口にした。そして、すぐに踵を返してバイルシュミット城へと向かうべく足早に歩き出す。言いたいことは山ほどあるのだ。けれど、それを全て口にする暇はない。だからこそ、たった一言のその言葉に様々な思いを詰め込んだ。それがエルンストに届いているかは分からない。届いていればいいと、届いてくれていることをただ願うしかない。
 ゲアハルトは地上階に出ると、すぐに近くにいた兵士を捕まえて追撃に出していた兵士を戻すように指示を出し、既に行方は掴めたからもう休んでいいとも伝える。いつの間に、と言わんばかりに兵士は目を瞬かせていたが、朝には出撃するということも分かっているためか、すぐに通達しますと敬礼するときびきびと動き出した。それを見送り、ゲアハルトは先を歩く近衛兵の後に続いた。


「此方です、司令官」


 城内はしんと静まり返っていた。アベルが侵入したとなると、それなりに騒ぎになっているのではと予想していたゲアハルトは少々拍子抜けしつつも近衛兵がゲアハルトを振り向いてこの部屋だと告げる。近衛兵によって扉が開かれたそこは比較的小さな会議用の部屋だった。そこには既にレオの姿があり、丁度足を踏み入れると眠たそうに欠伸をしているところだった。
 そんな間の抜けた様子にゲアハルトは溜息を吐きつつ、「お呼びでしょうか」と声を掛ける。レオ相手に敬語を使うことにはまだあまりしっくりとこないのだが、かと言って以前と同じままというわけにもいかない。特に今は、近衛兵も同席しているのだ。不敬だと注意されたくはない。


「お呼び立てしてすみません。あ、ちょっと司令官と二人で話したいから外してくれないか」
「了解しました。それでは、部屋に外で待機しておりますので何かありましたらお声掛けください」


 本題を切り出す前にレオは申し訳なさそうに眉を下げながら近衛兵に退室を促す。もっとはっきりと言い放っても彼はそれが許されるのだが、そういうことは苦手らしい。レオらしいと言えばレオらしいのだが、舐められる要因にも成り得る。注意しておくべきだろうかと思案するも、今回はそのような小言を言う為に来たわけではない。


「単刀直入にお尋ねします」
「いつも通りでいいですよ。司令官に敬語を使われるのは何か、慣れないので」
「……そうか。なら、聞くが、アベルがお前のところに来ているはずだ。身柄を渡して欲しい」
「それは出来ません」


 やっぱりそっちの方がしっくり来るなと呟きつつも、レオはきっぱりと断ってきた。そう簡単に身柄を渡すとは思ってはいなかったが、こうもはっきりと言ってのけられるとは思わなかった。彼もエルンスト同様にアベルのことを信じているのだろうかとゲアハルトは僅かに眉を寄せる。無論、元々近しい間柄だったということもあるし、レオの性格を考えればアベルのことを疑うとは思えない。だが、そうした考え方は危険だとゲアハルトは思うのだ。いつか身を危険に晒すことに繋がる――ならば、芽のうちに摘んでおくべきなのだと思う。
 再度身柄を引き渡すようにと口を開こうとした矢先、ばちりと音を立てるかのようにレオと目が合う。その碧眼に迷いはなく、どこまでも真っ直ぐに見返して来る。その視線に、開こうとした口は自然と閉ざされてしまう。


「アベルの身柄はオレが責任を持って預かります。明日以降の戦闘にも組み込みますが、何かあったとしてもオレが責任を取ります」
「裏切ったらどうする」
「絶対に裏切りません。あいつは、もう絶対に裏切りません」
「……裏切らない確証でもあるのか」
「いえ、確証はありません。……でも、オレはアベルを信じます」


 アベルは危険を冒してまでオレのところに来ました、そんなあいつをオレはまた裏切るだなんて考えられません。
 はっきりと言い切るレオにゲアハルトは僅かに眉を寄せる。甘い考えだ。確証も何もないのだ。もしもアベルが再び裏切れば、それこそ被害は甚大なものとなり、取り返しのつかない事態になるだろう。それを分かっているのかと口を開くも、それよりも先にレオは眉を下げて「心配事ばかり増やしてすみません」と申し訳なさそうに笑った。


「こうして心配事ばかり増やすから、司令官はいつも眉間に皺を寄せて難しい顔をして、厳しいことを言わなきゃならなくなる」
「……」
「オレが不甲斐ないから、心配かけて、迷惑かけて、嫌な役目ばっかりさせて、すみません」


 レオはそう言うと、深々と頭を下げた。そういうわけではない、と咄嗟に言おうとするも、「でも、アベルの身柄だけは渡せません」と顔を上げた彼は真っ向からゲアハルトを見返す。その瞳からは意志の固さが見受けられ、無理矢理にでもアベルの身柄を捕えようものなら、何としても奪い返すと言わんばかりの様子だった。


「……それで、お前は責任を持つと言っていたが、具体的にはどうするつもりだ」
「もし裏切るような真似をした時は、オレが殴って止めます」
「……それ以外の案は」
「えっ、と……あ、四六時中一緒にいて見張ります」
「……」


 それらはどちらかと言うと、裏切らないようにどうするか、ということだ。それもあまり効果があるとは言えない発案内容にゲアハルトは呆れた様子で溜息を吐いた。元々、レオに何かしら考えがあるとは思っていなかった。自分が納得するような提案をしてくるとも思ってはいなかったし、期待してもいなかった。が、あまりにもこれは酷過ぎる――そう思いつつ、ちらりとレオへと視線を向けるとどうやら彼も同じことを考えてはいたらしく、苦笑いを浮かべながら「いや、でもほら、アベルは裏切らないからそこまで考えなくてもいいかなって」と言い出す。


「……もういい」


 自分が何を言おうともどうすることも出来そうにない。だったらもう好きにさせた方がいいのではないかとさえ思えて来た。無論、心配なことには変わりはない。レオの身に万が一があることだけは避けなければならないし、何より、彼が命を落とすようなことになればホラーツに会わせる顔がないのだ。


「アベルの身柄は陛下にお任せします。煮るなり焼くなりお好きにどうぞ」
「いや、そんな……食べませんけど」
「当たり前だ、この馬鹿。……兎に角、自分で責任を持つと言った言葉、忘れるなよ」
「勿論です。……それから、司令官」
「何だ」


 席から立ち上がり、扉に向かっていた矢先、背後から声が掛かる。足を止めて振り向くと、レオも立ち上がり、表情を引き締めていた。


「ご武運を」
「……陛下も、どうか御身を第一にお考え下さい」
「それは、司令官も同じです。それから……アイリスをよろしくお願いします」


 そう言うと、レオは深々と頭を下げた。その様子にゲアハルトは「……ああ」と短く返した。本当はもっと他に言いたいことはあるのかもしれない。レオはいつも彼女のことを気に掛けていたのだから、その一言だけではなくもっと他にも、何か言いたいはずなのだ。けれど、レオは何も言わずに頭を下げ続けた。真っ直ぐにアイリスのことを想うその様子に、彼女を遠ざけることしか出来なかった自分がとても情けなく思えた。
 ゲアハルトはレオから視線を外すと、「俺はもう行く。……お前も早く身体を休めろ」とだけ言うと足早にその部屋を後にした。外に控えていた近衛兵はゲアハルトに対して一礼し、彼に見送られて城を後にした。冷たい風が吹いている。空を見上げると、雲一つなく冬の星座が夜空で瞬いていた。このまま天候が崩れずにせめてライゼガング平原を越えられればいいのだがと考えつつ、今頃、平原に差し掛かっているであろうレックスら先行部隊の無事を願いながら軍令部へと戻って行った。










「お嬢様!」
「アルヴィンさん……」


 翌朝。朝早くから出立する兵士らが集まり、それを見送る家族が大勢押し寄せている中央広場の雑踏の中、後方支援の積み荷の最終確認をしていると、見知った声が聞こえて来た。振り向くと、そこには既に包帯も取れたクレーデル家の執事であるアルヴィンの姿があった。ここはいいから行っておいで、と言ってくれたエルンストの代わりの新しい初老の軍医に背を押され、アイリスはアルヴィンの元へと駆け寄った。


「もう包帯取れたんですね、よかった」
「ええ、もうすっかりとよくなりました。お嬢様もお元気なご様子で何よりです」


 帰還してから一度、アルヴィンとは顔を合わせていた。帰還してからも時間に追われてなかなか会いに行けなかったのだ。そのまま出兵の日を迎えることになるとは思わなかったものの、こうして彼が会いに来てくれたことは嬉しかった。周囲を改めて見ると、大勢の人が別れを惜しんでいる。そのような中から自分を探し出すことは決して簡単ではなかったはずだ。現にいつもきっちりと髪を上げているアルヴィンだが、今は少し解れてしまっていた。


「……こんな日なんて来なければいいとずっと思っていました。メイドたちもとても、心配していました」
「うん……心配掛けてばかりでごめんなさい」
「そうですね、お嬢様には心配を掛けられてばかりです」


 呆れて物も言えないとばかりにはっきりと言われてしまうと、アイリスもさすがに落ち込む。だが、事実であるため、言い返すようなことはしなかった。視線を伏せながら次にどんなお叱りの言葉が来るのだろうかと戦々恐々してしまうのは、アルヴィンが怒ると怖いことをよくよく知っているからだ。ただ、彼は決して理不尽な叱り方をしないということも、アイリスは知っていた。


「……ですが、もう慣れました。私もメイドたちも」
「……うん」
「怒ってはいませんよ、お嬢様。さあ、顔を上げて。私たちはお止めしない代わりに、ただ、お嬢様に生きて帰って来て頂きたいだけです」
「アルヴィンさん……」
「怪我も出来ればして欲しくはありませんが、するなとは言いません。ですが、必ず生きて戻って来て欲しいのです」


 それ以外のことを我々は望みません。
 顔を上げると、アルヴィンは優しい笑みを浮かべて自分を見ていた。だが、少しだけ目が赤かった。それに気付くと、じわりと目頭が熱くなる。しかし、アイリスはきゅっと拳を握り締めてそれに耐えると、笑みを浮かべて見せた。
 出来ることなら勿論、生きて戻りたいと思っている。帰りを待ってくれている人が自分にもいるのだと思うと、アルヴィンらを悲しませない為にも生きて戻りたい。だが、その約束は、出来ないのだ。必ず生きて戻れる保障など何処にもない。だからこそ、笑っていたかった。泣いて、困らせたくはなかった。笑っている自分のことを、覚えていて欲しかったのだ。


「皆で邸で待っててね」
「ええ、勿論。お嬢様のお好きな料理を皆で作ってお帰りをお待ちしております」


 集合を促す声が聞こえて来る。もう、時間なのだ。アイリスが手を伸ばすと、アルヴィンはがっしりとその手を握り締めた。このまま行かせたくはないとばかりに、その手は微かに震えていた。その手を握り返し、アイリスは努めて明るい笑顔と声で「行って来ます、アルヴィンさん」と声を掛けると、するりとその手を抜けて、駆け出した。
 泣いてしまいそうになる。温かい手に触れていると、耐えていた涙が零れてしまいそうだった。けれど、それに耐え、アイリスは後方支援の兵士らの集合場所に合流する。そしてそのまま点呼を終えると、馬車に乗り込んだ。振り返ることもせず、ただ、握り締めた拳を見つめる。けれど、がたんと音を立てて馬車が動き出したその瞬間、我慢しきれずに振り向いた。
 大きく手を振るアルヴィンが見える。無事を祈る声が聞こえる。アイリスは唇を噛み締めるも、堪え切れず涙が零れた。そして、大きく手を振ってその声に応える。馬車はゆっくりと速度を上げ、次第にアルヴィンの姿は見えなくなった。中央広場を出る頃には、馬車の中には微かなすすり泣く声で満ちていた。けれど、それは今だけだ。自分たちが戦わねば、自分たちの帰る場所を守ることは出来ない――涙を拭き、次に顔を上げた頃には、誰もが表情を引き締め、前を見据えていた。



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